第16章

前田南は気づいた。彼女の言葉の後、望月琛の表情がさらに暗くなっていることを。

望月琛は立ち上がった。

彼が彼女に近づいてくる。その高い体格が山のように圧迫感を放っていた。一瞬、前田南は息ができなくなるような感覚に襲われた。

しかし彼女は退かなかった。退くわけにはいかなかった。

「お前にそんな資格があると思っているのか?」

望月琛は冷たく言い放った。

ほんの一瞬のことだが、前田南は自分が万年の氷窟に投げ込まれたような感覚に陥った。体が震えるほどの冷たさだった。

前田南は軽く笑った。

「叔父さんの言葉は本当に面白いですね。自分でそう思っているくせに、他人に資格がないと責めるなんて...

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